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公益財団法人市民防災研究所 公式ブログ

当研究所からのお知らせや防災・減災情報を発信!

運営側の視点で避難所等における新型コロナウイルス対策を考える

新型コロナウイルスの感染が広がっています。そうした状況の中で、災害が発生した場合や発生する恐れがある場合には、自治体では避難所や避難場所等(以下「避難所等」という。)を設置しなければならないことが予想されるので、その対策について考えます。

避難所等は3密空間(密閉・密集・密接)で、感染症が拡大しやすい環境です。

これまで被災地の避難所でも感染症対策は行っていましたが、新型コロナウイルスに対するワクチンや効果が証明された治療薬が確立していない状況では、より一層の感染防止に努めなければなりません。

新型コロナウイルスが蔓延している中で、自治体が避難所等を設置して多くの避難者が避難してくると、避難所等において集団感染(クラスター)が発生する恐れが極めて高くなります。

まもなく大雨や台風のシーズンを迎えます。また、大地震はいつ起きても不思議ではありません。現時点で避難所等における必要最小限の新型コロナウイルスへの主な対策は以下のとおりです。

避難所等における新型コロナウイルスの参考リンク集(随時更新)

■ 対策目標

・避難所等で集団感染を発生させない。
・避難が必要な人が感染を恐れて避難せずに、犠牲になることを防止する。

■ 対策上の留意点(4月30日追記)

感染しても症状がでない無症状者からも感染が広がるおそれがあるので、避難者の中に感染者がいるとの前提で対策を進めていかなければなりません。

■ 避難所等における新型コロナウイルス対策

(1)自治体が開設する避難所等への避難者の低減対策(住民への啓発)

クラスター対策は3密を避けることと言われています。3密を避けるためには、避難所等に避難して来る避難者をできる限り少なくすることが重要です。

「避難」とは「難」を避けることです。安全な場所にいる人は、避難場所に行く必要ありません。

今こそ住民一人ひとりが避難=避難所・避難場所に行くという考えを再考してもらい、ハザードマップを確認して地震や水害等の災害種別ごとに、あなたは本当に避難することが必要なのかを考えてもらうことが大切です。

出典:中央防災会議「令和元年台風第19号等による災害からの避難に関するワーキンググループ」

□ 自治体が設置する避難所等以外で避難する場所の確保

マイ・タイムラインの作成講座を行っていると、多くの人が自宅近くの学校など自治体が設置する避難所等に避難することを第一に考えています。

自治体が設置する避難所等は、もともと生活環境が良い場所ではありません。避難する場所を検討するとき、安全な場所に住んでいる親戚や知人の家等に避難することを第一に考えてもらい、避難できる場所がない場合は、最終的に自治体が設置する避難所等を選択してもらいましょう。

□ 自主防災組織は居住地域の災害リスクを地域住民に伝えよう

ハザードマップが配布されていても見たことがない人が多いのが現状です。また、ハザードマップを読み解くことができない人もいます。そこで、自主防災組織は、その地域の災害リスクをよく把握しているので、地域住民に災害リスクを伝えて避難行動を考えるきっかけづくりに取り組むといいでしょう。

(2)避難所等を開設する場所の要員確保

多くの自治体では避難所運営を自主防災組織等の地域住民に委ねているところがあります。しかし、自主防災組織の役員は高齢者の方が多く、高齢者は重症化するリスクが高く、避難所の運営は感染リスクが高いので協力してもらうことが難しくなります。一方で、感染して回復した人は免疫を獲得している可能性があるので、避難所運営に従事してもらうこともできるかもしれません。避難所運営要員の確保を検討しておきましょう。

(3)高齢者施設等の協定団体への確認

高齢者施設等と協定を締結して福祉避難所の設置を計画している自治体も多くあります。高齢者施設は、重症化リスクを有する多くの高齢者が入所しています。施設は入所者を守るために、ウイルスを持ち込ませない対策が取られていて、避難者を受け入れることが困難となることが予想されます。災害時の福祉避難所の設置の可能性について、事前に協定団体に確認しておきましょう。

(4)避難所等の感染症対策

避難所ででき得る限りの感染症対策を講じていく必要があります。

□ 感染症対策物品の購入と配置

すでに補正予算を組んで感染症対策物品を購入している自治体もあります。感染症対策に必要な物品を購入して各避難所に早急に配置しましょう。

【主な感染症対策の物品(例)】
非接触型体温計、手洗い用石けん、手指消毒液、家庭用消毒薬、マスク、ディスポ手袋、ペダル開閉式ごみ箱、間仕切り用パーテーション、感染対策啓発用ポスター

□ 避難所等に車中泊スペースの確保

都市部では避難所等で校庭に車の乗り入れを禁止している自治体もあります。特例的に台数を制限するなどして、車中泊スペースの確保も検討してみましょう。

□ 各避難所に保健師等の専門家を配置

新型コロナウイルスに感染している可能性のある症状がある避難者への対応には、専門的な知識が必要です。また、避難者の受付の段階で、疑いのある症状の人を隔離するかまたは感染症対応避難所への移送について判断しなければなりません。各避難所に感染症対応ができる保健師等の専門家の配置を検討しましょう。

□ 感染症対応避難所の設置

感染者または感染の疑いのある人は、できる限り一般の避難所ではなく感染症対策を整えている専門の避難所を設置して対応することが望ましいです。

□ 避難者に持ってきてもらう感染対策用品

例)マスク、手指消毒液、スリッパ、ウェットティッシュ、体温計、筆記用具

□ 避難所運営で取り組むこと(案)

・全員マスクを必ず着用します。
・手指消毒液を各所に配置します。(受付、トイレ、居住スペース等)
 ※手指消毒液は、アルコールアレルギーの人への配慮が必要です。
・感染の疑いのある症状がある人は、専用受付を設けて対応します。
・世帯ごとに居住スペースを区画して、世帯ごとの間隔は2m以上確保します。
・避難所内は土足禁止にします。
・避難者は入口で靴を脱ぎ、室内履きに履き替えて必ず手指消毒をしてから受付をします。
・ドアや扉は原則開放しておき、ドアノブ等に触らないようにします。
・手すりやドアノブ等の手が触れる場所の定期的な消毒をします。
・窓を開けて換気し、定期的に窓を全開にして換気をします。
・マスクや鼻をかんだティッシュを捨てる専用ごみ箱を設置します。
・感染症対策ポスターを掲示します。
・避難者には毎日検温と体調を報告してもらいます。

その他、検討すべき内容はさまざまあります。内閣府から各自治体への通知文でも確認してください。

◎ 内閣府防災ホームページ
避難所における新型コロナウイルス感染症への更なる対応について(PDF)

 - 調査研究

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